(※キミ限定)ドキドキさせるの禁止ですっ!
荒牧くんは意地悪そうな顔で、ニヤニヤしている。
またなんか企んでそうで、イヤな予感…。
気のせいだといいけど…。
荒牧くんのことを気にしつつも、そろそろお母さんが迎えに来る時間だから、文庫本をカバンにしまっていると。
「じゃあさ、妃恋ちゃん。
俺の名前呼んでよ」
「へっ…!?
な、何で!」
「何でって…、
さっき自分で呼ぶって言ったじゃん」
そうだけど…。
それは、そういう機会があったらっていう意味で…。
「今言うなんて一度も言ってないし。
第一、荒牧くんの名前なんて知らないし…」
「じゃあ教えてやるよ」
「……!」