(※キミ限定)ドキドキさせるの禁止ですっ!


「聞こえてるんだろ、返事くらいしてよ」



もちろん荒牧くんの声は聞こえていたけど、文庫本を読んでいるフリを続けていると、キィイとイスが引く音がした。



「ねぇ妃恋ちゃん」



そして目の前にスラッとした影が近づいてくる。



なんでこっち来るの。


来ないでよ……。



「……」



仕方なく顔を上げると、



「やっとこっち見てくれた…」



ドキッ…。



アッシュブラウンの少し長めの前髪から、むかつくくらい整った笑顔が見えた。



左耳のシルバーのピアスが夕日に照らされてきらりと光る。



何でそんな嬉しそうな顔するんの。


ほんと意味わかんない。

< 9 / 24 >

この作品をシェア

pagetop