Re:ヴェーク 《起》
さっきまで騒がしかった廊下も、今ではホームルームが始まってるおかげで静まり返っていた。
少し前を足早に歩く中島と、ゆったり歩く龍我の足音がコツコツと不揃いに響く。
階段を1階分上がり、しばらく歩くと突然中島が立ち止まった。
頭上を見上げると、《1-A》と書かれた表札がぶら下がっていた。


＿ガラガラッ

中島が戸を開けると、そこにはクラスの半分ぐらいの生徒が席に着いて待っていた。
残る半分はというと、教室の端々でたむろって世間話にいそしんでいた。
中島の無表情な顔から察するに、いつものことなんだろう。

｢みんな席につけ。今日は転校生を紹介するぞ〜。｣

中島が気だるそうに声をかけると、約半数あった空席が段々と埋まっていった。
中島が龍我の方を向き目配せする。
教室の入口から黒板の前までゆっくりと歩き、
黒板に無造作に名前を書いて勢い良く前を向く。


｢どうも。今日からお世話になります。
《鬼嶋 龍我》（Kishima ryuuga）
です。よろしく。｣

軽く頭を下げると、拍手が聞こえた。
中島が拍手をしながら声をかける。

｢お前の席は1番後ろの窓側な。｣

教室の後ろの方を指さした中島は、龍我が席に座るのを見届ける前にホームルームをはじめた。

一方、龍我は最も望んでいた席に決まり、優越感に浸っていた。
軽い足取りで歩を進め、席につく。
学校生活、初日から良さそうだ。
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