図書室の花子さん(仮)
「林、最近本読むようになったのか。」
「あぁ。図書室、案外野球の本置いてんぞ。
俺も最初、野球漫画置いてるかなぁってノリで来たけど、カウンターで聞いたら、普通に野球のプレーとか解説の本薦めてくれて。しかも面白かったから、他も借りてる。」
そんな会話をしながら、坊主頭の2人がカウンター前を通過する。
その一瞬、
"パチっ"と
斎藤くんと目が合う。
マズイ、見惚れてた。
慌てて元々読んでいた文庫本に、視線を戻す。
2人は、そのまま一番奥の本棚へと向かっているようだ。
よし…。あとは林くんが手紙を挟んだ本を借りてくれれば御の字だ。
必死に念じていると、林くんが本を片手にカウンターへとやって来る。
「これ、お願いします。」