図書室の花子さん(仮)
その後。
一度想いが伝わってしまえば、返事は保留であるものの、私は開き直って斎藤くんと接することが出来るようになった。
後ろの席の彼と、「おはよう」と挨拶をし、宿題の答えを確認し合ったり、分からない勉強を教えてもらったり。
「随分、頑張ったみたいね。」
お昼休み、パンを頬張る悠里が満足気に微笑んだ。
確かに、自分でもこの積極性は褒めたい。
斎藤くんがどう思っているのかは謎だが、もう私の気持ちはバレている。
文通をしていた頃より、ずっと素直に彼を想っている。それだけで幸せだった。
そう思えるようになった頃には、校門前で告白をした日から、1カ月程経過していた。
……もうそんなに経つんだ。
冬に近づき冷えていく夕焼けを、図書室から眺める。
その日だった。
ガラッと
扉の開く音と共に、