図書室の花子さん(仮)
……きっと、大丈夫。
彼があれから、"私自身" を見てくれていたのだということが、先程の様子やこの手紙から、痛いほど伝わってくる。
別れ際に見せた彼の笑顔が、
脳裏に焼き付いて離れない。
下校時刻までは、あと1時間。
再び彼が訪れるその刻が待ち遠しく感じる。
…待ってる。
待ってるよ、斎藤くん。
グラウンドで練習する彼が、いつもより少し眩しい。
その姿を眺めた後、
私は右端へと本を戻した。