図書室の花子さん(仮)
" B組男子 さんへ
もうすぐ秋ですね。
部活、頑張ってください。
図書室からこっそり応援しています。
読者オバケより "
ルーズリーフにそう綴り、二つに折り畳んで、いつもの場所へと向かう。
図書室、一番奥の本棚、右端。
スポーツ関連書籍を収納した所。
元プロ野球選手が書いた、エッセイ本の裏表紙側に、先程の手紙を挟む。
この手紙が、明日には斎藤くんの手に届く。
そう考えただけで、少し鼓動が速くなる。
私が斎藤くんと、文通を始めたのは、ちょっとした思いつきからだった。
*
約1年半前の、高校の入学式。
朝、初めての通勤・通学ラッシュに飲み込まれた私は、入学早々、定期を落としてしまった。