図書室の花子さん(仮)
このままじゃ、本当に眺めるだけで3年間終わりそうだ。
1人残された図書室で、ポツンと考える。
せめて私が野球に詳しくなってから、話しかければいいんじゃ……!?
そう思い立って、一番奥の本棚、
右端のスポーツ書籍を扱う所から、野球の本を何冊か取り出す。
あ、これ林くん借りてたな。
もはや斎藤くん以外の人の行動まで、覚えるようになってしまった。
でも、林くんはカウンター作業でしか会わないから、やっぱり話しかけ辛いし……
手紙でも渡せたらいいけど。
「……手紙?」
私のピンク色の脳内で、何かがピンと来た。
……そうだ!林くんが次に借りそうな本に、手紙を挟んでみるのはどうだろう。
まずは外堀から埋めるしかない。
妙な案を思いついた私は、早速林くんへの手紙を書いた。