Miss*You
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素直になれない自分は恋にいつだって邪魔になっているのに……
素直になれない自分は……
これっぽっちも可愛くない……
【Miss*You】
─────────…この声色はきっと今日も……
「……悪い、遥奈。
今日もまたガイダンス入って……」
「そっか。
仕方無いよ。
琉惟くん今忙しい時期だし」
うん、うんって。
彼氏の謝罪を聞きながら相槌を打ち、頃合いを見計らってバイバイと電話を切る。
仕方無い、仕方無い。
残念がるもう1人の素直で子供で我が儘な自分をその言葉で身動きが取れないように縛る。
彼氏である琉惟くんは今、大学4年生も終わりにさしかかっている。
高校3年の私がそんな彼と出会ったキッカケはこの高校へ琉惟くんが教育実習生としてやってきたこと。
私の一目惚れからのアタックが功を奏して奇跡的に付き合えることになった。
そしてもうすぐその付き合いも4ヶ月になろうとしている。
季節も琉惟くんと出会った時からだいぶ進んでもう町並みも景色もすっかり秋模様。
「……仕方無い、んだよ」
本当はもっと沢山会いたい。
でも琉惟くんは小さい頃からの教師という夢を叶えるために今、踏ん張らなきゃいけない時。
まだまだ子供の私はそんな琉惟くんをここでじっと応援することだけ。
頭ではそう分かっている。
それに楽しみにしていた予定が無くなってしまうのは別に今に始まったことじゃない。
「……バイト、空いてるか聞いて。
空いてたら入れてもらお……」
もう少し我慢したら。
きっともっと会えるようになるから。
今は何より琉惟くんの夢を応援したい。
それがきっと……
“飽きられない可愛い彼女”
の見本なんだから…────────
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