コガレル ~恋する遺伝子~
部屋に入ると、終電までに帰るようにとラインした。
すぐに、“今は電車で、もうすぐ帰ります”って返信が来た。
それに対して“駅まで迎えに行く" って、返したのには既読がつかなかった。
とりあえず駅に行くか。
キャップを被って、財布と車のキーを持った。
駅に着いてロータリーでしばらく待ってたけど、姿は見えなかった。
ラインは何度か送っても未読のまま。
電話をかけてもいっこうに出ない。
もしかしてすれ違って、タクシーで帰ったのか?
スマホは電池切れとか?
でも、それなら出がけに声をかけた親父から連絡が来るだろう。
まだ家には帰ってないはずだ。
仕方ない。
車をガード下のコインパーキングに停めた。
キャップを目深に被ると車を降りる。
終電までには少し余裕のある時間だし、金曜ともあってまだ多くの人が行き交う駅構内。
改札口を見渡したけどお目当ての人はいなかった。
改札を左に見て、反対の出口の階段を降りてみた。