コガレル ~恋する遺伝子~
その日の夕食は、准君と二人で食べた。
和乃さんは料理を作り終えると帰ってしまう。
専務と圭さんは仕事で外食するそうだ。
ちなみに私の元勤め先の洋菓子メーカーは、専務のお父さんが立ち上げた。
庶民的な価格設定なのにケーキは1ピースが大きくて、中でもシュークリームがこれまた大きめで、ネームバリューと合わせてお土産に喜ばれる物だった。
今では全国のデパートでも大型スーパーでも当たり前のように店舗がある。
前社長だった専務のお父さんは亡くなられて今は、弟である専務の叔父さんが社長に就いてる。
現社長が会長に退けば、次の社長は真田専務だろうと噂は聞いたことがあった。
専務は家業を継いだけど、その長男である圭さんはどうやら別の仕事をしてる。
職場で圭さんを見たことがないし、今日のあの出勤の服装は普通のサラリーマンには見えなかった。
「圭さんは何の仕事をしてるの?」
ダイニングのテーブル、斜向かいに座る准君に問いかけた。
「マジか…」
准君の箸は止まった。