コガレル ~恋する遺伝子~


 そんな二人だけの夕食を済ませると准君は、シャワーを浴びてから勉強する、って上に行った。
 結局圭さんの仕事は教えてくれなかった。

「直接本人か親父に聞きなよ」

 そう言って話題は変えられてしまった。
 何だか含みのある笑顔が憎たらしい。


 私は後片付けを一通り終えると、またテーブルに着いた。
 ノートを二冊、自宅から持って来た。
 一冊は家事用、もう一冊はレシピ用に。
 教わったことをまとめるためのノート。

 料理は和乃さんに
「弥生さんの味付けでいいんですよ」って言われたけど。

 それでも教わった料理に関しては、和乃さんの味付けでいこうと決めた。
 きっとこの家の人達は、その味に慣れ親しんでるだろうから。

 ノートに書き込んでたら、静かな屋敷の中で金属の音が聞こえた。
 続けて玄関のドアが軋む音も。

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