コガレル ~恋する遺伝子~


 時が経つのも忘れて、ノートに向かってたみたい。
 時計を見たら、22時の少し前。
 立ち上がって玄関へ出向くと、帰ってきたのは専務だった。

「お疲れ様です。お帰りなさい」

 鞄を受け取った方が良いかと腕を伸ばしたけど、専務は手の平を向けてそれを断った。

「自分でやるからいいよ。それより少し話をしよう、待ってて」

 そう言って専務は二階へ上がって行った。

「荷物は運んだの?」

 しばらくして降りてくると、スーツのジャケットとネクタイがなくなってた。

 専務はシャツの腕をまくりながらテーブルの、私の隣に腰掛けた。
 朝も専務はここに腰掛けてたし、准君は専務の向かい、圭さんは斜向かいと決まってるみたい。

「必要なものだけ。圭さんが手伝ってくれました」

「そう」
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