コガレル ~恋する遺伝子~
それでも事件は起きた。
圭さんには、それは事件じゃなくて『事故』って言われてしまうんだけど…
この日は和乃さんの年に一度の健康診断の日だった。
区から提供される無料の健診で、平日しか選択肢がないそうだ。
専務は快く和乃さんに休んでもらった。
そして頼りないながらも、私が家事一切を引き受けることに。
偶然にも専務は九州に出張で、朝早く出かけた。
時間になると准君は学校へ、圭さんはなぜか平日なのに休みだった。
そんな圭さんは昨晩帰りが遅かったせいか、なかなか降りて来ない。
私はここぞとばかりに掃除や洗濯に集中した。
昼近くになってようやく圭さんが起き出してきたから、朝食兼昼食を並べた。
私もちょっと休憩したくなって、お茶でも飲ませてもらおうと食卓の向かいに座った。
この席、つまり専務の隣で圭さんの前が、私の席と定着しつつあった。