コガレル ~恋する遺伝子~


 にぎやかだった夕食の片付けが終わって、火の元と戸締りを確認した。

 これでお風呂に入れば、私の今日一日が終わる。


 准君はシャワーでもう済ませたのは知ってるけど、圭さんはまだのはずだった。
 でも、もしかして私が買い物か夕食の支度をしてる間に入ったのかも知れない。


 ここへ来てからというもの、入浴は家族の後にって心掛けてた。
 私が最後なら、さっと拭き掃除もできるし。

 聞いてみよう。
 三階に上がると圭さんの部屋のドアをノックした。


「どうぞ」

 すぐに返事が聞こえた。

 ドアを開けると圭さんはソファに寝転がってた。
 仰向けになって、顔の上で何か冊子のようなものを広げて読んでる。


「お風呂、入りました?」

「まだだけど、先に入っていいよ。今、仕事中だから」

 圭さんは冊子から目を離さないで、そう答えた。


 仕事中?…には見えないけど?

 それでも、邪魔をしたら機嫌を損ねる予感がした。


「すみません…お先にいただきます」

 控えめな声量で断りを入れると、そっとドアを閉じた。

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