コガレル ~恋する遺伝子~

 そんな休日も終わろうかという時、全身に衝撃が走った。

 “衝撃” とは、この時使うために存在した言葉に違いない。

 明日撮影分のセリフは一通り記憶した。
 さっさとシャワーを浴びて寝よう。

 二階に下りるとバスルームで服を脱いだ。
 シャワーブースへ進んでコックを捻ったら、違和感。
 半歩、後ろへ下がった。

 シャワー自体に問題はない。
 いつもと変わらない水圧で、湯をタイルに叩きつけてる。

 違和感に思い当たった。
 香りだ。
 甘ったるいような、男所帯の風呂場にはありえない香り。

 シャワーを一旦止めて、バスタブに視線を向けた。
 希望としては、香りの付いた湯を抜き忘れたまま、もぬけの殻のバスタブ。


 嘘だ、ホントは期待してたのかも…

 一糸まとわぬ彼女の姿を…

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