コガレル ~恋する遺伝子~
さっき綾さんがプリプリと怒ってた、例の新人君に違いない。
そういえばいつだかの朝礼で、新人紹介されてたのを思い出した。
「俺が研修の間に退職されたみたいで、すれ違いですね。
あの、三課の仕事の相談に乗っていただけませんか?」
「もちろんです」
引き継ぎが上手くできてないから、この新人君が悩んでるんだろうと、少しの責任も感じた。
「とりあえず、ライン交換お願いします」
そう言ってスマホを取り出した。
「長谷川、テメー、調子に乗んな!
分かんないことは、俺に聞け!」
脇で様子を窺ってた杉崎課長が身を乗り出して一喝すると、新人君は逃げるように退散してしまった。
「まったく、仕事しろっつーの!」
課長は怒りながら、お手洗いに立った。