極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
すでに過去の話なのだ、私にとっても朝比奈さんにとっても。
そう思っている方が、冷静にxデー……再会の日を迎えられそうだし、事実そうだと思う。
まるきり何もなかったように、きっと彼は上司の顔で私の前に立つ。
だけど、伊崎の反応は渋いものだった。
「そうかねえ。そんなあっさり行くかねえ……」
「何よ」
「だってあの頃、お前相当好きだったじゃん」
ぐ、と、パスタと一緒に言葉も詰まる。
咳き込みそうになるのを何とか咀嚼し、飲み込んだ。
「だから、もう終わったことだって!」
相当好きだったわよ、認めるけど!
私が蒸し返したくないと思ってることをどうして伊崎が蒸し返すのよ。
「どうだか。流されそう、お前」
「そんなことないわよ」
「だから予防線張っとけば?」
私の返しなど少しも耳に入れない伊崎が、よくわからないことを言う。
そして続いた言葉に、私は眉を寄せた。
「俺と付き合ってることにしとけばいいよ」
「は?」
「だーかーら! そしたら朝比奈さんだって言い寄っても来れないだろうし、お前も言い寄られても拒否する理由ができる」
「だからって、余計メンドクサイよそれ」