極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
心臓の高鳴りが心地よく、つい口元が緩む。
照れた表情の朝比奈さんを、横から見ていることが、この時間がなんだかとても、嬉しくて。
にやける私を、朝比奈さんが恨めしそうに横目で見た。
「わかった。その代わり、今度、デートして。そしたら話すよ」
「えっ、なんでそうなるんですか。それなら話してくれたらデートします」
「じゃあ言わない」
そこまで恥ずかしいようなこと?
唖然と彼を見つめて「ずるい」と呟くと、まだ少し照れをにじませたまま、彼が首を傾げて微笑んだ。
「必死なんだよ、これでも。GW明け、一日時間が欲しい。何もしない。君の行きたいところに行って、ちゃんとここに送ってくる、それだけ」
ダメ?
と優しくねだられては、頑なな態度も段々と開かざるを得なくなる。
「……わかりました」
渋々と頷いた時、ほうと溜息を零しながら彼が表情を綻ばせたのを見た。
ほんの少し私が態度を軟化させただけなのに、それだけのことでこんなにも喜びを表情に滲ませてくれる。
そのことが、甘い照れくささを胸に絡ませていた。
あまり長くは車を停めていられず、その後すぐに車を降りた。
いいというのに階段がまだ心配だからと彼も部屋の前までついて来て、昨日はあれほどそれが嫌だったのに今は驚くほど抵抗がない。
強引なところは、昔と違うところ。
けど無理強いではないところがギリギリで私の警戒心を解いている。
「……送ってくださってありがとうございました」
そう言えばまだ一言もお礼を言ってなかったと改めて頭を下げた。