極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
「何がだよ」

「伊崎だってモテるじゃない! 担当エリアの年上の女性店長に積極的に言い寄られてるって風の噂で」

「どこの風だよ!」

「販売員同士の連絡網舐めんじゃないわよ」


販売員は、数年ごとに異動があるから案外、いろんな場所と繋がりがあったりする。
だから、思いもよらぬ情報が別のエリアにまで広がったりしてしまうのだ。


「伊崎、確かに年上ウケ良さそうだもんねえ」

「うるせー! 別になんでもない、ちょっとバレンタインにチョコ貰っただけで」

「どこチョコ?」

「……オランジーナ・ショコラ」

「もろ本命じゃん」


なんだか余程バツが悪いのか、伊崎の顔は眉を寄せて耳は真っ赤になっていた。


「お、俺のことはいいだろ! とにかく今は、朝比奈さんが……」

「ってか、早く食べなよ時間ないよ」


私の皿では既に半分ほどが空いている。
伊崎は話すのに必死で、まだイチゴサンデーしか食べ終えてない。


イチゴサンデーは溶けずにすんだかもしれないが、パスタは冷めてきてるのじゃないだろうか。


「食うよ、すぐ。それより、俺は真剣に言ってんだって」

「うん?」

「俺を理由に使ってくれていいからさ、心配してんだよほんとに」


心配してくれるのはありがたいけれど、そんな言われ方をしたら相手にされない現実が目の前に突きつけられた時に恥ずかしくなるではないか。

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