極上スイートオフィス 御曹司の独占愛


「あ……ちょっと素直になったね」

「……そういうこと言うならもう言いません」


せっかく素直に言ったのに、変にからかわれてむすっと唇を尖らせた。
それすら、彼は楽しそうに笑う。


「笑わないでくださいよ、もう」

「いや……君には悪いんだけどこの現状も案外いいかなと思って、つい」

「え?」

「あの頃の真帆は僕の言うことなら何でも『はい』って言ったし、僕に逆らうとか歯向かうとか絶対なかったからね。仕事のことでもプライベートでも。ずっと背伸びして無理して笑ってた。こんな風に拗ねたり怒ったりするのが、すごく新鮮だ」


言われてふと、気が付いた。
私が過去の恋の答え合わせをしているような感覚を覚えたのと同じように、彼もまた感じているのではないだろうかということ。


今の私は、間違いなく素直ではなく可愛げもない。
だけどこれが、今の私だ。


あなたの目にはどう映っているのだろう、とまっすぐに彼を見つめていれば。


「……おやすみ。もう帰るよ」


そう言いながら、彼の手が伸びて来た。


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