極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
きゅっ、と胸の奥を締め付けられるようなそんな表情だった。
愛しさとか切なさとか、豊かな情が溢れているような気がして、その感情に目が潤んだ。
「や、ヤキモチなんて。朝比奈さんがまさか」
揺さぶられる感情を悟られたくなくて、咄嗟に笑う。
目を合わせているほど彼に引き寄せられそうで、下を向いて彼の視線から逃れようとしたけれど。
「そう、ヤキモチ」
「え」
「で、君は」
きし、と助手席のシートが軋んだ。
彼の片肘が肩の辺りに預けられ、体重がかかったのだ。
「煽った上に、今、自分を好きだという男と二人きりだっていう、自覚はある?」
彼の手が、私のシートベルトを外した。
しゅる、と音を立てて引き戻されていくそれを目で追おうとして、それは叶わなかった。
大きな手のひらが私の頬に触れて、強引に顔を上向かされる。
潤んだ目と赤いだろう顔を、彼の間近に晒すことになり余計に熱が上がるのを感じた。
「な、なにするんですか」
その問いに、頬に触れた彼の手の親指が答える。
唇に触れて、わずか、開かせるように下に引いた。