極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
伊崎が顔を近づけて、若干苛ついた様子でこそこそと話しかけてくる。
「……朝比奈さんとお前、より戻すんじゃねえの?」
「え……いや、うーん?」
何と答えたらいいものか、言葉を濁しているうちに店員が来て、とりあえずふたりさっさと日替わりプレートでオーダーを済ませる。
店員が居なくなった途端にまた伊崎は返事を急かしてくるのだが。
私の手元で、スマホがメッセージの受信を知らせて振動した。
見れば、朝比奈さんからだった、のだが。
『ふたりで何やってるの』
いや。
それこっちのセリフですから!
彼の方を見れば、相変わらずにこやかに倉野さんに話しかけている。
が、よく見ればテーブルの下でスマホを手にしているのがわかった。
『ランチですよ。朝比奈さんこそ随分仲良さげで何よりです』
『妬いた?』
『別に』
ちょっとカチンときて、速攻で素っ気なく返してしまったけれど。
少し間を置いて、再びスマホが震えた。
『僕は妬いてる』
この状況で
こんな簡単な言葉ひとつで、胸がきゅんっと鳴ってしまった私は馬鹿でしょうか。