極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
「……そ、うですか」
私の目を見て、はっきりと言ったのだから何か魂胆があるのには違いないが……それは他の女の手に口づけながら言うことか、と呆れてしまう。
「妬いた?」
「妬きません」
「心配しなくても、真帆も一緒だから。いつが空いてる?」
心配なんかしてないし、と言い返す前に絶句した。
後に続いた何の冗談だと思うような言葉に眉を顰めれば、彼から重ねて尋ねられる。
どうやら本気のようだった。
「いつがいい? 真帆が空いてる時でないと意味がないんだよ」
「いや……え? 私も行くってことですか? 一緒に?」
「一緒に、となるか向こうで鉢合わせることになるか、この後誰がどう動くかによるけどね」
「何を考えてるんですか?」
きっと倉野さんは朝比奈さんとふたりきりだと思って来るのだろう。
そこで顔を合わせた時の彼女の表情を想像すれば、カフェでのあの鋭い目が思い出された。
睨まれるに決まっている。
だが、恐らくは同じものを想像しているだろう朝比奈さんはにっこりと微笑んだままだ。
「四人、そこに居合わせてみたらどんな顔をするかと思って」
「ちょ、悪趣味ですその理由。嘘を吐けない状態にして、倉野さんに話させる気なんでしょう?」
「そう。場所はハイアットにしようか」
真上から注がれる微笑みが、ぞくっとするほど恐ろしくて身震いをした。
倉野さんの目よりもよほど、恐ろしい。
「言ったでしょう。僕は結構、怒ってるんだよ」