極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
四人、と言った。
まだ憶測の状態とはいえ朝比奈さんは既に確信を持っていて、その怒りの対象に伊崎も入ってるのだ。


「……伊崎はほんとに、悪いやつではないんです」


つい口をついて出た言葉は、伊崎を庇うものだった。
どうしてもずっと私を助けてくれた顔が脳裏にちらつく。


否定したいというよりも、『悪いヤツではない』とただそれを、伝えたかった。
わざと私を陥れるようなことはしないと信じている。


真上から微笑みが黙ったまま私を見ている。
朝比奈さんは「伊崎」には敏感に反応するから、聞き入れてはもらえないかもしれない。


表情は変わらないまま、彼に捕まっていた手が私の胸元に戻される。
そしてふっと困ったような苦笑いに変わると、自分の腕を私の前で交差して一層強く抱き締めてきた。


「ちょ、苦し、」

「悪い男じゃないのはわかってるよ、ちゃんと」


言いつつ、彼の腕は緩むことはなく、そのままぎゅうぎゅうと締め付けられる。
しばらくそのまま離してもらえなかった。

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