極上スイートオフィス 御曹司の独占愛

GW明けの最初の金曜夜。
それが、私が希望した日だった。


というのも、その翌日土曜は、朝比奈さんと以前約束したデートの日だからだ。
もやもやしたままで赴くよりも、何もかもはっきりした状態でその日を迎えたかった。


その日までの数日は、どうしても伊崎の行動が気になってつい目で追っていたが、仕事も忙しくそのことばかりに気を向けてはいられなかった。


当然、倉野さんのこともだけれど、そちらは滅多と遭遇することもないし、知るよしもない。


特にどちらからも何か言われることもなく、やっぱり伊崎は無関係なんじゃないかと思いほっとしていた当日の、昼だった。


「吉住さん!」


そろそろ昼食に行こうかとオフィスを出てすぐ、声をかけてきたのは倉野さんだった。


「倉野さん?」


何か用がない限り、彼女がこの階にくることはないはずだ。


「どうかされましたか?」

「朝比奈さん、オフィスにいらっしゃるかと思って」


相変わらず綺麗な笑い方をする。
彼女は手に書類を持ち、朝比奈さんを訪ねてきたようだったがそれが仕事なのか私用なのかはわからない。


「どうでしょう……いらっしゃるとしたら統括室のほうかと思いますが……」

「そうなのね。お忙しいかしら。今夜お会いする約束だからその時でも構わないのだけど……」


はにかむような笑顔に変えながら、片頬を手で抑え私が尋ねもしないことを口にする。


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