極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
今夜会うことをわざわざ私に知らせに来たのだろうか。
私も参加予定ですよ。
むかっ、と来て、つい口を滑らしそうになるのをかろうじて飲み込んだ。
「どうでしょう、行ってみてはいかがですか」
「朝比奈さんならさっき出てったからいねえよ」
突然ぶっきらぼうな言い方で割り込んだのは伊崎の声だ。
驚いて振り向こうとしたが、それより先に伊崎が早足で近付き私の隣に並んだ。
「あら、そうなんですか」
倉野さんは変わらず微笑んだままだが、何やら声が伊崎に対してトーンが低い。
「でしたら、メモだけでも置いてくるわ」
「統括室ですよ。勝手に入るのはまずいと思いますが。言付かりますよ。その書類?」
にわかに始まったふたりの攻防はどこか早口で、ただの仕事のやりとりのはずなのに見るものをヒヤヒヤさせるような空気を伴う。
その状況についていけず目を白黒させている間に、倉野さんが折れた。
「いえ。これは違うの。結構よ、またお会いした時にするわ」