極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
「何が言いたい?」
「三年経ってんですよ。こいつがずっと一人だったと本気で思ってんですか。放置しといてそれは都合が良すぎると思いますけど」
「ちょっ! いっ!?」
いきなり何を言い出すのか。
さっきの嫌な予感はこれだったか、と慌てて止めようとすれば、テーブルの下で思い切り脛を蹴られ言葉が途切れ、思わずテーブルに伏せて足を擦った。
今の絶対、靴の先だった!
伊崎のやつ、さっきまであんなビビってたくせに何を急に、となんとか顔を上げる。
痛みのあまりに涙目だった。
そんな表情で朝比奈さんとしっかり目が合ってしまう、そのタイミングで伊崎は尚も彼を煽ったのだ。
「あんたがいない間に何があったっておかしくない。真帆は今は俺と付き合ってるとしたら?」
どっぽどっぽと火に大量のガソリンを注ぐような伊崎の発言に、私は必死で違うと頭を振った。
声が出なかったのは、ふうっと落ちて来た溜息に朝比奈さんの苛立ちを感じたからだ。
一瞬、見放されてしまうのじゃないかと不安に手を伸ばしかけた時、彼の目は伊崎へと向けられた。
「今の話が本当だとして、だから何」
低く響いた声に、伊崎がびくっと肩を跳ねさせ息を飲む。
その声音から怒っているように聞こえたけれど、朝比奈さんにしては酷く好戦的な目で笑っていた。
「関係ないよ。端から奪うつもりで帰ってきたんだから。伊崎、言ったからには僕と争う覚悟はあるんだと思っておくよ」
朝比奈さんと、争う覚悟。
そこで遂に、伊崎は顔色と返す言葉を失った。
「残念だけど、倉野さんがそろそろ着く頃だから、伊崎の相手は後でゆっくり。バレても構わないけど気付かれないようにしといた方が面白いかもしれないよ」