極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
ああ、やばい。
動揺してるってまるわかりだろうか。
カアッと熱くなる頬を自覚しながら、再び顔を上げれば、案の定。
苦笑を浮かべる朝比奈さんがいた。
「相変わらずだな、吉住は」
「す、すみません……落ち着きなくて」
「うん。今日は? 時間ある?」
え、と。
そこでまた、固まる。
だめだ、上手く思考が働かない。
「時間、ですか」
「君と伊崎のどちらかから、面談するから。引き継いだエリアのことも気になるし」
ああ!
面談!
そうでした!
変な勘違いをしそうになって、冷や汗が吹き出した。
「午前中なら、大丈夫です。午後からは外出予定で」
「わかった。後で声をかけにくるよ」
ふんわりと、柔らかい印象の微笑みもやっぱり昔と同じだった。
オフィスを出て、広い背中が見えなくなるとどっと力が抜けた。