極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
泣きじゃくる私の左頬に、大きな手のひらが触れる。


慈しむように優しく親指が涙を拭い、撫でながら私の呼吸が整うのを待っている。


少し息が楽になった頃、頬から離れて胸元の指輪に触れた。


小さな指輪は、彼の手の中にあると尚更小さく見えた。


「……傷だらけだ」

「ご、ごめんなさ……」

「綺麗だね」


指で摘まんで持ち上げて、優しく指輪に口づける。


まるで私の三年間の全てを、労るかのように、癒すかのように。


それから再び視線を上げて、私の目を見つめる彼もまた、涙こそないけれど苦しげに眉を寄せながら。
いつかのように、私の唇にその指を触れさせた。


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