極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
店長の異動も、恐らくは彼女の予測は当たっているだろうと僕も思っている。
そして年齢的にも恐らく、本社か支社のいずれかの教育、育成に携わる部署に異動になるのだろうということも、勘づいているのではないだろうか。


長く携わった接客業を離れるかもしれない、という感傷が横顔から滲み出ていた。


「いらない口を出しました。申し訳ありません」


仮にも長く店舗を切り盛りし、接客と販売員の育成を手掛けてきた彼女に敬意を表して頭を下げる。


「やめてくださいよ。それよりあの子、やっぱりゆくゆくはマネージャーですか?」 

「どうでしょうか。マネージャーか補佐か、といったところだと」

「店舗にも向いてますけどね。朝比奈さん好みの人材になりそうですよね」


と、何やら興味深げにそう言われ、意味が解らず首を傾げた。


「どういう意味です?」

「縁の下の力持ちタイプ、というか。朝比奈さんがそうでしょう、各店舗と会社の単なるパイプ役だけでなく、サポートに自分の足で何を置いても動いてくれる、そういうマネージャーのいるエリアは店としては大助かりです。似てるな、と思ったんですよね、仕事の仕方が」


規模が、店内か地図上か、というだけのことだと、彼女は言った。

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