極上スイートオフィス 御曹司の独占愛

付き合った期間は、短かった。
ただ、毎日顔を合わせて同じ仕事を共有していたから、とても長い時間を一緒に過ごしていたような気がする。


それでも、専務から大阪行きを打診され戻れるかどうかもわからないから決まった相手がいるなら身を固めてはどうかと言われた時。
それがとても現実的なこととは思えなかった。


社会に出てまだ二年に満たない、付き合って数か月しか経たない。


ましてや、自分に自信が持てなくて
僕といることで徐々に翳っていく君の笑顔にも気がついていて。
僕がいないときの方が、肩の力の抜けた笑顔を見せていることにも気が付いていた。


不安を婚姻関係で解消することは、決して彼女の為にならないことも。
自分の為にもならないことも。


きっと仕事一辺倒になるこれからの数年を、彼女を見知らぬ土地に道連れにすることなど、到底できなかった。

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