極上スイートオフィス 御曹司の独占愛

ミーティングルームは、入って正面は窓が並んでおり、全ての窓にはロールスクリーンが付けられている。今は陽射しを遮るために半分ほどまで下ろされていた。


右奥には、大きなホワイトボード。
中央に長机があり、パイプ椅子が向かい合わせに並んでいた。


「どうぞ、座って」

「失礼します」


彼の向いの椅子に座る。
すぐに何か言葉があるかと思えば、彼は手元の資料を見ていた。


無言が続いて手持無沙汰で、私はつい、朝比奈さんの端正な顔立ちに見入ってしまう。


だって今なら、じっと見てても不自然じゃない。
それに、朝礼の時は私は隅の方の机だから、遠くよく見えなかったから。



……朝比奈さん、少し、痩せた?


頬が、ほっそりとした気がする。
そのせいか、穏やかな表情は以前のままだけど、精悍さがプラスされた印象だ。


切れ長の綺麗な目が伏せられて、睫毛が長く頬に影を落とす。
少し明るい色の髪は、少しくせ毛混じりで触れると柔らかいのを知っている。


ぱら、ぱらと資料を捲る、大きな手と長い指。
捲るのは右手で、左手は紙の端を弄るのが彼の癖だったと、仕草を見て思い出した。


と、いうか。何の資料だろう?
私が持ってきたものではない。


ちらっと彼の手元を覗き見れば数字がずらっと並んでいて、それが何か一目でわかった。


「ごめんね。面談の前に目を通しておこうと思ったんだけど、時間がなくて」

「い、いえっ……大丈夫、です。はい」


どっと、冷や汗が出て緊張が走る。
それを感じ取ったのか、彼が俯いたままくすりと笑った。
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