極上スイートオフィス 御曹司の独占愛

翌日、いつも通り仕事をこなし、外回りにも出て昼過ぎに戻って来た時だ。
佐々木さんに仕事を頼もうと近づいたのだが、彼女はまだ昼休憩の途中で他の女の子たちと雑談で盛り上がっていた。


「佐々木さん、休憩中にごめん。後でいいから、頼んでもいい?」

「了解です」


私の手渡したファイルを受け取ってから、ちらっと彼女の視線が私の目を見た。
佐々木さんとは、朝比奈さんが一喝を入れてくれて以降、多少ぎくしゃくはしながらも互いに言葉をかけあうようになった。


彼女とだけでなく、他の補佐の女の子たちとも多少、やりやすくなったように感じる。
けれど、彼女の方から雑談を振られたのは初だった。


「もしかして、吉住さん知ってます? 昔から朝比奈さんとは仕事の繋がり深いですもんね」

「うん? 何が?」

「朝比奈さんの彼女です」

「えっ」


ぎく、と頬がひきつった。


こないだ、ふたりでデートした。
ハイアットに泊まった日だ、結局昼から出掛けてふらふらと街を歩いて夜は夜景を見たりのんびり過ごせたのだけど。


それを誰かに見られたのだろうかと焦ったのだが、そうではなかった。



「倉野さんじゃないかって! ふたりで親しげに話してるとこみた人がいて」



そっち!?


全く予想出来てなかったが、思い出してみれば、だ。
ランチをしていたふたりは確かに、ものすごく目立っていた。


じわじわと噂が広がっていたとしても、なんら不思議なことはない。


「なんかすっごくお似合いだったらしいですよ」

「美男美女だよね。男も女も文句言えない」

「どっちもうちらとは別次元だし僻んでも仕方ないわよ」


あー。


なんか。
デジャヴ。

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