極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
こんな時間に誰だろう、と訝しみながら静かに玄関に近づく。
反応する前に、ドアスコープから外を確認したら、そこに朝比奈さんの姿があった。
「えっ! 嘘? 朝比奈さん?」
「真帆? ごめんね突然。電話はしたんだけど……」
ドア越しに聞こえたのは、確かに朝比奈さんの声だった。
なんで?
今日は遅くなるからもう会えないって言ってたのに。
嬉しくて勢いよくドアを開けそうになって、はっと我に返った。
「ちょ、ちょっとだけ! ちょっとだけ待ってください!」
慌てて顔のパックを剥がし、ゴミ箱にぽいっと投げる。
それから自分の格好を見下ろした。
もろ、薄ピンクの緩い部屋着、顔はすっぴん。
クローゼットを開け、選んでいる時間はなく目についたジーンズとカットソーに着替えた。
すっぴんはもうどうしようもない、出張から帰ってきて疲れてるのにこれ以上待たせる選択肢はない。