極上スイートオフィス 御曹司の独占愛


こんな時間に誰だろう、と訝しみながら静かに玄関に近づく。
反応する前に、ドアスコープから外を確認したら、そこに朝比奈さんの姿があった。


「えっ! 嘘? 朝比奈さん?」

「真帆? ごめんね突然。電話はしたんだけど……」


ドア越しに聞こえたのは、確かに朝比奈さんの声だった。


なんで?
今日は遅くなるからもう会えないって言ってたのに。


嬉しくて勢いよくドアを開けそうになって、はっと我に返った。


「ちょ、ちょっとだけ! ちょっとだけ待ってください!」


慌てて顔のパックを剥がし、ゴミ箱にぽいっと投げる。
それから自分の格好を見下ろした。


もろ、薄ピンクの緩い部屋着、顔はすっぴん。
クローゼットを開け、選んでいる時間はなく目についたジーンズとカットソーに着替えた。


すっぴんはもうどうしようもない、出張から帰ってきて疲れてるのにこれ以上待たせる選択肢はない。

< 205 / 237 >

この作品をシェア

pagetop