極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
「真帆、嬉しい」
ぎゅうぎゅうと強く抱きすくめられて、まさかそこまで喜ばれるとは思ってなかったのでどう反応したらよいやら困ってしまった。
「あ、あの。質問攻めにあったらほんとごめんなさい。私言うだけ言って後はほったらかしにしちゃって」
「いいよ、そんなのは構わない。これで堂々と明日も一緒に出勤できるし」
「え! いや! それはやだ! なんか生々しいし」
「好きに言わせとけばいいんだよ。これで真帆に近づく男が減るだろうし僕は安心だ」
いや……そもそも、私に近づこうなんていう奇特な人はそう滅多にいないのだけど。
私は逆に不安である。
「こっちは逆にハラハラですよ。彼女が私みたいのだったら、絶対これから朝比奈さんに近づく女の人増えるじゃないですか」
あんな子が彼女なら、私の方が、私でも!
きっとそんな『倉野さん1号2号3号』みたいのが、続出するような気がするのだ。
「恥ずかしいとかだけじゃないんです! だから言いたくなかったのに」
盛大にヤキモチを妬き、ぶつぶつと拗ねた口調でそう言う私を、彼はご機嫌に笑う。
抱きしめられたままなので、彼の笑った気配が直に胸から響いてくる。
「笑わないで、もう! 本気なんですから!」
「ごめん。けど、もうわかってるでしょう。僕がそんなの相手にしないって」
「わかっててもいやなんですっ」
彼の背中に手を回し、開き直って抱き着いた。
「真帆だけだよ。昔も今も」