極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
「そ、そんなつもりは!」
「久々に本社に戻ってきた上司の昼飯にも付き合えない?」
「いえですからそんな、ってなんでそんな意地悪な言い方ばっかりするんですか!」
そんな会話の間も、くすくすと可笑しそうに笑う彼の表情も、言葉だけでなく確かに意地悪。
なんか前と、少し性格が違うような。
三年も経てば変わるのだろうか。
以前との違いを見つけて反応に困る私に、彼が長机を避けて一歩、近づいた。
「社食が嫌なら、外に出よう」
「え、」
「以前もそうだった。僕と一緒に居るところを見られるのは嫌がってたから」
言葉と同時に彼の表情が艶を増し、私はびくっと肩が震え頬が強張った。
以前、とは付き合っていた頃のことだ。
知られるのが嫌だったから、私は仕事の話以外では社内で接触するのをできるだけ避けていた。
また一歩、彼が近づく。
私の足は固まったまま動かなくて、人ひとり分の空間をあけたくらいまでの距離になる。
彼の片手が長机に置かれ前屈みになる。
その為、顔は更に、近くなって。
「……正直に言えばもう少し話したい」
あの冬の日、私を問い詰めることもなくあっさりと背中を向けた彼が、恋人の顔をした。