極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
「あ、あの、本当に今日は」
「ちょっと。まだ謝るの?」
「えっ、すみません!」
結局条件反射で謝罪が飛び出た私に、朝比奈さんは一瞬目を見開いた後、「ぶふっ」と吹き出してしまった。
「吉住は可笑しいね」
「えっ! オカシイ?」
「うん。もう、そんなに気にするくらいなら、じゃあお礼をもらおうかな」
よっぽど私がオカシかったらしい。
朝比奈さんは、目尻に涙をためながら笑ってそう言うと、ちょっと首を傾げて私の顔を覗き込む。
「今夜は? この後時間ある?」
「え」
「もうじき定時だろ。お礼に食事に付き合ってくれたら、許すよ」
え、え、え。
私の中では、ハテナマークが飛び交う。
もっと罰則的なものでお許しをいただけるのならわかるけど、どうして朝比奈さんと食事に?
狼狽えている間に、エレベーターがオフィスの階に到着し、扉が開く。
「じゃあ、約束な」
そう言ってエレベーターを降りていく。
一瞬、機能停止していた私も、扉が閉まりかけたのに気付いて慌てて降りた。
お食事……朝比奈さんと!?
そ、そんなことがあっていいの?
これでは寧ろ、罰則ではなくご褒美……あ!
もしや、食事しながら説教、ということだろうか!
それなら、心して向かわなければならない。
そう覚悟を決めて、それから山程の緊張も抱えて、仕事上がりを向かえた。