極上スイートオフィス　御曹司の独占愛
「そっ、そんなことないですよっ」


まさかそんな風に褒めてもらえるとは思ってなくて、驚いて声が上擦った。


「あるよ。一年、店舗に居た君は本当に楽しそうだったし、くるくるよく動き回ってた」

「そう、でしたっけ……」


店舗に居た時から、ちゃんと見ててくれたんだ。
そのことが嬉しくて、じんわりと胸が熱くなる。


失敗して怒られてばかりで、すっかり自信を失くして凝り固まっていた心が、柔らかく解けていく。


「本社勤めは窮屈かもしれないけど、同じだよ。俯いてばかりいないで、しっかり前を向いてやればいい。そうしたら、きっとミスも減る。もし失敗しても、今日みたいに何かしらカバーできる方法は常にある。だから怖がらなくていい」


朝比奈さんの言葉がひとつひとつ、心に響いて瞼が焼けそうに熱かった。
ぐっと唇を噛み締めて、涙を堪えていたけれど。


……怖がらなくて、いい。


その一言で、私の涙腺は、決壊した。



「す、すみませんっ！」


ぼろぼろぼろっ、と涙が零れて慌てて両手で隠した。
本社に来てまだ半年にもならない、確かに私は店にいた頃に戻りたいと思い始めていた。


失敗して何度も怒られて、最初はその度に気を持ち直したりしてたけど、この頃は小さくなって失敗しないようにと思えば余計に緊張して遅くなったり、悪循環になっていたのだ。


そんな自分に気づいてくれてる人が居た、しかも優しい言葉をくれた。
それだけで、救われたような気分になってしまったのだ。


恥ずかしい！
ちょっと仕事で失敗したくらいで、ちょっと励ましてもらったくらいで！


「もー、ほんと、すみません。すぐ止まりますからっ」


笑って誤魔化そうとしたけど、どうにも止まりそうにない。
しかもその時、ぽんと頭に掌が乗った感触がした。

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