極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
「いいよ。止まるまで待ってるから」
ぽん、ぽん。
頭に乗ったまま、指が宥めるように優しく叩く。
最初は驚いて固まってしまっていたけれど、その優しいリズムを感じているうちに少しずつ、気持ちが凪いでくる。
車内に際立つ、コーヒーの香りと私の涙声。
数分、そうしていただろうか。
目尻に残った涙を指で拭いて
私はようやく、俯かせていた顔を上げた。
「……あの、すみませんでした。大丈夫です」
気恥ずかしさを堪えて笑う。
大きな手はまだ、頭に乗ったままだ。
目が合った。
思いもよらず朝比奈さんは真剣な表情で、私は笑顔のまま固まってしまう。
彼は私の涙が止まっているのを確認したのか、目を細めて微笑む。
どくん、と鼓動が高鳴って、止まらなくなってしまった。
「じゃ、飯食いに行こうか」
頭に置かれていた手が、ゆっくりと髪を撫でて降りる。
その仕草に頭がパニックになって、はい、と返事をしたものの小さく擦れた声だった。
首だけはしっかり、こくこくと数度頷く。
それを見て、彼はくすりと笑った。
朝比奈さんの手が離れて視線が前を向き、車を発進させる。
その間も胸がどきどきと忙しなくて、頭の中はまだ混乱していた。