極上スイートオフィス 御曹司の独占愛


頭、撫でられてしまった。
しかもなんか、すごく優しい手だった。


夜で良かったと、心底ほっとする。
暗がりだからわからないだろうけど、私の顔は今きっと、真っ赤だ。


朝比奈さんの優しい言葉や仕草や、真剣な表情が、ずっと頭の中で繰り返されて消えない。


ずっとこれまで抱いていた尊敬や憧れといった感情に、恋慕が加わったきっかけだ。


私はこの日、恋に落ちた。
夢中になって、朝比奈さんしか見えなくて、褒められたいがために仕事を頑張った。


言われた通りに前を向いて、いちいち落ち込まないビビらない。
そうしていれば、不思議とミスも減った。


好き、好き、好き。
私の感情の全部が、朝比奈さんに向かっていく。


その気持ちだけで満足していられたら、それがきっと一番幸せで。
私はいつか諦めて、身の丈のあった、易しい恋を新たに見つけていたかもしれない。


ひと月ほど過ぎた頃だろうか。
私は朝比奈さんのエリアのサブをつとめるようになっていった。


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