極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
結局その後三杯飲んで、店を出た頃には私はへべれけというほどではないけど足元が覚束ない状態だった。
「送るよ」
と、彼が言った。
腕を取られて見上げれば、くらっと眩暈を覚える。
ああ、まずい。
送られるのは、まずい気がする。
「大丈夫です、自分で」
「タクシーで帰ろう。……頼むからもう、警戒しないで。ちゃんと送るだけだから」
寂しそうに微笑む、その雰囲気に飲まれた。
通りがかったタクシーに彼が手を上げ、ふたりで後部シートに乗り込んで、すぐに絡みつくように繋がれた左手を、拒否できなかった。
思ったよりも、酔ってしまっているのだろうか。
感覚が、感情が時間を遡る。
この温もりが大好きだったと、手のひらから伝わる体温に、私は目を閉じた。