極上スイートオフィス 御曹司の独占愛


朝比奈さんと付き合ってるなんて、正直自分に自信が持てなくて、今はまだ秘密にしてもらっていた。いつか、朝比奈さんに釣り合えるとまではいかなくても、助けになれるくらいには仕事が出来る人間になれたら、その時は堂々と言えたらいい。


そう思えば、仕事がどんなに忙しくても耐えられた。
頑張れた。
何より、仕事イコール朝比奈さんとの時間となっている今は、全神経仕事に傾けることにも繋がっている。


「よいしょ、と。これでラスト!」


在庫数をチェックし終えて腰を伸ばす。
きっと今頃、店頭の方でも閉店作業が終わって入金処理に向かっている頃だろう。


最後の段ボールを、よいしょっと抱えて、上に積み上げようとした時だ。
ふっと、手の中から重みが消えた。


「あ、朝比奈さんっ!」

「悪かったね、ひとりにして。問題なく終わった?」


段ボールを私の手から引き受けてくれたのは、朝比奈さんだった。
戻ってきてくれたのだと、嬉しくて顔がほころんでしまう。


「こちらは全然、大丈夫です! 朝比奈さんの方は良かったんですか?」

「大丈夫。終わったよ」


言いながら、段ボールを上段に積み上げてくれた。


てっきり、終わったら今日はもう、それぞれ帰宅する流れかと思っていたから、驚き以上に嬉しかった。
それが全部、顔に出ていたんだろうか。


ぱんぱん、と手を叩いて埃を落とした彼が、私を見て少し申し訳なさそうな顔をした。


「……本当なら、これからクリスマスディナーに、って言ってあげたいところなんだけどね」

ふと見せてくれた恋人の顔に、どきどきしながら私は慌てて首を振った。

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