極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
ずっと夢の中にいるような、ふわふわと舞い上がった感情と、初めて朝比奈さんの部屋を訪れる緊張感で、心臓は走りっぱなしだった。
高層マンションの一室、パノラマ画像のように広く外を見渡せる窓の外は、ホワイトクリスマス。
私は生まれて初めて、大好きな人とクリスマスを祝った。
リビングには、少し残ったクリスマスケーキと半分ほど空けたシャンパンが置き去りになっている。
ベッドに腰かけ、緊張で震える私の冷えた指先を温めるように、彼が私の両手を包み唇をあてた。
まるで、宝物にそっと触れるようで、自分が何かとても大切な存在になれたような気持ちになってしまう。
きゅ、と胸の奥が苦しくなって、目を瞑った。
その間も彼の唇の感触が手の甲から感じられて、身体が熱くなる。
彼の唇も、熱い。
その体温に混じって、ひやりとした固い金属のような感触が指に触れた。
固い感触は薬指を通って、その感覚に驚いて目を開けた。
朝比奈さんの大きな手に包まれている、左手の薬指に部屋の間接照明が反射する。
「これっ……」
たった一度のデート。
朝比奈さんに仕事の電話が入って、偶然足を止めた場所のアクセサリーショップで私が一目惚れした指輪だった。
細いリングに、青と白の小さな石のつぶで花の形が象られている。
朝比奈さんは電話中だったから、気付いてないと思ってたのに。
「クリスマスプレゼント。欲しいものを聞き出す時間もなかったし……他に、思いつかなくて」
顔を上げれば、彼にしては少し珍しい、照れたような表情だった。