極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
「ちょっ! 何してるんですか!」
キスされそうなくらいに近い距離に慌てて背を反らせ、後ずさった。
「あ……残念。同情してくれてるみたいだったからこのままつけこもうかなあって」
「そっ! そういうこと言われると益々信用できなくなります!」
この人夕べ、信用を取り戻すみたいなこと言ってなかった?
上司としては信頼していても、男の人としてはどうなのか。
本気なのかからかってるのか、黒なのか白なのか。
くすくす楽しそうに笑う彼からは、中々尻尾がつかめない。
「心配しなくても、大阪もやりがいはあったよ。あっという間だった。……それより足、大丈夫?」
彼の視線が私の足元に降りる。
スニーカーに替えてることを気にしてくれていたようだった。
「大丈夫です、さほど。念のため暫くはスニーカーにします」
「外出があれば声かけて。車出すから」
「え! いえ! 結構です!」
エリア統括連れて外回りなんて、そんな目立つこと絶対しない!
「でも僕の責任だから」
「ほんといいです、しばらくは店舗周りもないんで」
「じゃあ、送り迎えくらいはしようか」
「通勤の!? もっと嫌ですよ……って、やっぱりつけこもうとしてるでしょう!」
気付いて軽く睨むと、彼は悪戯な表情を浮かべてようやく、身を引いた。
「信用を取り戻すって難しいなあ」
「仕事中に何言ってるんですか。用がそれなら仕事に戻ります」
ふい、っと顔を背けて出入り口のドアノブを握る。
その時、背後から彼の声が追いかけてきた。
「三年は、長いね」