キミの声がききたい
プロローグ
「あんななんか。産まなきゃよかった」
「なんで私ばっかりこんな目に合うのよ!」

母さん…

「あっち行って。近寄らないで」

どさっ。

母さん。ごめんなさい

「その目やめて。あの人と同じ目で見ないで」

母さん。母さん。僕は…

僕は生まれつき聴覚が弱い

父親も僕に障害があると分かると。外で愛人を作って出て行った

僕は…生まれちゃいけなかったんだ

「こっち見るな」

パリンッ。

あっ。母さんの顔がにじんでみえる

僕は母さんが投げたお酒の瓶でおでこを切った

胸が痛い。母さんにあんな顔させて。こんなに追い詰めた…

15の冬。僕は母さんがいる家を自ら出て行った
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