いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防

突然の問いかけに向かいをみると、不機嫌に眉間にシワを寄せた顔が睨んだまま、ため息を吐いた。

「驚く気持ちも分からなくもないけど、個人的な感情より仕事を優先してもらえないかな？」

「すいませんっ！」

打ち合わせ中なのに、自分の思考に沈み込んで、相手の言葉を聞きもらすなんて社会人失格だ。しかも今日は担当の梨花さんがいなくて、私が一人で対応しなければいけないのに。

深く頭を下げると、もう一度ため息を吐いて、彼が話し出す。

「反省してるならまぁいいよ。仕事の話に戻ろう。まず、数点確認したいんだけど‥‥」

切れ長な瞳を伏せると長い睫毛が目立つ。

あぁ、相変わらず長いな。と思って、慌てて頭を振る。ダメダメ、また話をききのがしてしまう。

「大丈夫？」

「はいっ！」

ふっと上げられた視線になんとか答えて、私も視線を資料に戻す。

評価が高くて依頼がひっきりなしのウェブデザイナーの彼に仕事を受けてもらえた幸運をこんな事で失いたくない。