いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
「クライアントからの要望ですが‥‥‥」

キチンと仕事の出来る相手だと信頼してもらうべく、私は気持ちを引き締めて話し出した。

今回はクライアントのこだわりで、社内ウェブデザイナーではなく有名デザイナーに外注したので社内の関心度も高い。その意味も含めてこの案件は絶対に失敗してはならないのだ。

「‥‥といったところでしょうか」

質問に答えつつ、クライアントからの希望など重要点を確認する。

「そうですね。また確認したいことが出来たら、メールで連絡させていただきます」

「はい。本日はご足労頂いて、ありがとうございました!」

無事に初回の打ち合わせを終えられた達成感と安堵にほっとする。後はデスクに戻って報告書を作って、梨花さんにも報告して。
急遽、別件のクレーム処理で打ち合わせに出られなかった梨花さんはきっと凄く心配してくれてるだろうから、先に簡単なメールだけ送ろうかな。

いそいそと資料を片付けながらこの後の行動をシュミレートしていると、向かいからクスクスと笑い声が聞こえてきた。抑えきれなかったといった感じで大きな声ではないが、止まることはない。

「あの、なんでしょう?」
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