いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
「だから今夜ね。じゃ、柏木さん、お疲れ様でした」
いつの間にか帰り支度を終えた彼に言い逃げられて、私は一人途方にくれる。パタンと閉じたドアをぼんやりと見つめたまま。
「ーーーなんで今更」
もうずっと前に思い出として消化したはずだった彼の出現に胸がジクンっと嫌な音を立てた。
⌘ ⌘ ⌘
國井涼介。それが彼、ミズイ キョウの本名だ。
高校の先輩で、良く会った相手で、その名が伝説と同意語だった人。
世界でも有名な日本を代表するグループ企業の、創業者一族の本家に生まれた御曹司。勉強も運動も出来て、更に容姿が整っている。
そんな彼は、圧倒的なカリスマ性を持つ兄の「殿」こと國井駿介と共に、柔らかな物腰と穏やかさから「王子」と呼ばれていた。
その名前を聞けば教師達は誇らしげに、男子学生達は尊敬の眼差しを浮かべて逸話を語り、女子生徒は頬を染めてうっとりと、時には嬌声を上げて話題にしていた。
いつの間にか帰り支度を終えた彼に言い逃げられて、私は一人途方にくれる。パタンと閉じたドアをぼんやりと見つめたまま。
「ーーーなんで今更」
もうずっと前に思い出として消化したはずだった彼の出現に胸がジクンっと嫌な音を立てた。
⌘ ⌘ ⌘
國井涼介。それが彼、ミズイ キョウの本名だ。
高校の先輩で、良く会った相手で、その名が伝説と同意語だった人。
世界でも有名な日本を代表するグループ企業の、創業者一族の本家に生まれた御曹司。勉強も運動も出来て、更に容姿が整っている。
そんな彼は、圧倒的なカリスマ性を持つ兄の「殿」こと國井駿介と共に、柔らかな物腰と穏やかさから「王子」と呼ばれていた。
その名前を聞けば教師達は誇らしげに、男子学生達は尊敬の眼差しを浮かべて逸話を語り、女子生徒は頬を染めてうっとりと、時には嬌声を上げて話題にしていた。