いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防
もっと、もっと近くで見たいと思っているうちに、私達は二人で時間を過ごす事も多くなった。

少し離れた場所から見ると気品溢れる「幸福な王子」そのものなのに、そばに寄って見たら慎重な皮肉屋で。
たった二つしか変わらないのにもう十分大人な涼介は、決して見飽きる事のない観察対象。

そんな私を涼介は「変なヤツだ」と面白がって、いつしか一人前の友人として扱ってくれた。
好意を寄せられる事が多いからか、クラスメイトの女子でさえ友人とはならなかった涼介が友人と認めてくれた事が嬉しくて、特別だと感じて。私も涼介の友人である自分が誇らしかった。

ーーーはずなのに、近すぎる距離が私に錯覚を起こさせた。

周囲にいつも紳士的な彼が女生徒に笑顔で対応するのを見ると胸の奥がチリチリと痛み、告白されているのを見かけた時はイライラと頭痛がした。

でも私は、その理由だけは知ろうとしなかった。ほんの少し、自分の気持ちと向かい合いさえすれば直ぐに分かったのに。

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